笑ゥせぇるすまん、「喪黒福造」について考察

ドラえもんと喪黒福造

AmazonPrimeで「笑ゥせぇるすまん」の実写ドラマの独占配信が始まりました。もちろん私も見ています。

出典:https://www.tv-tokyo.co.jp/warausalesman/

「笑ゥせぇるすまん」の絵柄は(ドラえもんの作者である藤子F不二雄先生とかつてペアで活動していた)藤子不二雄Ⓐ先生が原作ということもあり、「ドラえもん」にそっくりです。

「ドラえもん」ではのび太がドラえもんの道具で一時的に自身の欲望を満たして満足するものの、調子にのって自業自得的なオチを迎えるという事が少なくありません。

同じように、「笑ゥせぇるすまん」では喪黒福造に目をつけられた客が最初は彼の施した「サービス」で満足するものの、欲に溺れて喪黒との約束や忠告を破ってしまい罰を受ける、という展開がほとんどです。

ドラえもんは「のび太くんを幸せにするために未来から来た」と公言している一方で、喪黒福造は「アナタの心のスキマ、お埋めします」と言っているものの「あなたを幸せにします」とは一言も言っておりません。

ここが彼らの決定的に異なるポイントなのかもしれません。

キュゥべぇと喪黒福造

また、喪黒福造と類似のキャラに「魔法少女まどか☆マギカ」に登場するキュゥべぇがいます。

出典:https://www.madoka-magica.com/tv/character/

「依頼人の願いを一時的に叶えてくれるものの、最終的には破滅させてしまう」という点で、彼らは非常に似ています。

「お腹を空かせた人がいたら魚を取ってあげるのではなく、魚の釣り方を教えてあげるのが本当の優しさ」らしいです。

願いの叶え方の傾向として、その「お腹を空かせた人」が「魚が食べたい」と願った時に「魚」を取って食べさせてあげるけれども、今後二度と魚が食べられないように「呪い」をかけてくるのがキュゥべぇ、「魚の捕り方を教えてくれる」のが喪黒福造です。

これだけ書くと喪黒福造の方がキュゥべぇよりまだ優しいと言えますが、彼は彼で厄介です。

感情がないが故に、人間というものが理解できないキュゥベぇとは対照的に、喪黒福造は恐らく「人間の心理」というものをある程度理解していると思います。

何しろ彼は、アニメ版の冒頭で

「私の取扱う品物は心、人間の心でございます」

とほぼ毎回公言しています。さらに

「この世は老いも若きも男も女も心の寂しい人ばかり。そんなみなさんの心のスキマをお埋めいたします。いいえお金は一銭もいただきません。お客様に心から満足して頂けたら、それが何よりの報酬でございます」

と続きます。この時点で怪しさ全開ですが、ここに彼の恐ろしい本性が隠されています。

彼はーー笑ゥせぇるすまん、喪黒福造は、「自分の提供するサービス」に「心から満足」してくれなかった顧客を、決して許してはくれないのです。

人間の心のスキマ(欲望)は永遠に埋まらない。何故ならーー

お腹を空かせた人が魚を取って食べられたら、一時的には満足します。

しかし、しばらくするとまたお腹が空いて来ます。今度は魚を一匹だけでなく、二匹以上食べたいと思うかもしれませんし、魚にはもう飽きて他の物が食べたくなるかもしれません。

心のスキマ(=欲望)は一時的に埋めることができても、それによってまた新たな心のスキマ(=欲望)が生まれてきてしまうのです。

ちなみにそれ自体は必ずしも悪いことではありません。人間は色々な欲望(心のスキマ)を抱いているからこそ生きていけるのだと言えますし、文化や文明を発展させることもできるのです。

しかし、これに「NO!」を突きてけてくるのが喪黒福造です。

彼に魚の釣り方を教わったが最後、「1日にニ匹以上魚を釣って食べてはいけない」とか、あるいは「魚以外の食べ物を食べてはいけない」とか、「守るのが難しい条件」を突きつけてきてきます。

そして彼の客の多くは彼との約束や忠告を守れずに破滅していくのです(^_^;)

「人の心のスキマを埋めるのはボランティアです」という言葉とは裏腹に、彼は人間から「飽くなき欲望(=生きるためのエネルギー)」を搾取していると言えます。

それ自体は「人類から感情エネルギーを搾取」しているキュゥべぇと大差ないかもしれません。しかし「それによって宇宙の寿命を延ばす」という最終目標を掲げているキュゥべぇとは対照的に、喪黒福造には最終目標がありません。

これが何を意味するのかというと、こう言えると思います。

喪黒福造に振り回される人間は滑稽で哀れだが、喪黒福造もまた、「人間の飽くなき欲望」に振り回され続けている「滑稽で哀れな怪人」である

恐らく喪黒福造は「人間の欲望(=心のスキマ)」には際限がないことを分かっています。

分かっているからこそ彼は毎回そこにつけ込んで人間を破滅させるのだと言えますし、分かっていて毎回それをやめられない彼の姿は、「人間の心のスキマを埋めて心から満足してもらいたい」(あるいは単に、欲深い人間を破滅させたい)という自身の心のスキマ(=欲望)を満たすことができずにこの世をさまよい続けている、滑稽で哀れな道化だとも言えるのではないでしょうか。

喪黒福造に惹かれるワケ

喪黒福造は「人の心のスキマにつけ込んで破滅させるしょうもない怪人」といえますが、アニメ版の(彼を演じた大平透の)声は不気味で恐ろしいながらもどこかユーモアがあり、愛嬌も感じます。

喪黒福造が今日まで愛される(?)キャラクターになったのは、彼を演じた声優のチカラによるところもあると思います。

顔はタレ目で福耳という人類に幸福をもたらしてくれそうな特徴を持つ一方で、口裂け女を連想させる不気味な唇を持ち合わせており、ここら辺のアンバランス感がまた彼の奇妙なキャラ造形に貢献しているといえそうです。

喪黒福造は人間の心のスキマをついて破滅させる恐るべき怪人である一方、彼自身もまた人間に振り回されている道化であり、彼の滑稽な姿もまた本作の魅力の一つなのでしょう。

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笑ゥせぇるすまん、「喪黒福造」について考察” に対して 2 件のコメントがあります

  1. イクリプス より:

    もしものび太のもとに来ていたのが喪黒福造だったらどうでしょうか?
    「あくまでテスト勉強のために利用して、決してカンニングに使わないように」という約束で渡された最良の学習道具を
    テスト中にちょっとくらい良いよね、という感覚で使ってしまい
    そこに喪黒福造が現れ「そんなに100点が取りたきゃ、いくらでも取らせてさしあげましょう!」と、テスト地獄に突き落とされる
    そういうのが浮かびますね

    1. 秋之ルイ より:

      イクリプスさん

      こんにちは。コメントが大変遅くなって申し訳ありません。
      >もしものび太のもとに来ていたのが喪黒福造だったら
      確かに、彼ならテスト地獄に突き落とすのがありえそうですね~。

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