この世を支配する「呪い」の正体
「人間や人間社会は、呪いに支配されている」
こう言われたらあなたはどう思うだろうか?
「はぁ? バカじゃないの、呪いなんて、ある分けないだろ!」
恐らくあなたはそう思っただろう。そしてあなたは「正しい」。この世に「呪い」なんて存在しない。気にするだけ徒労である。
しかし、次の言葉を聞けば、あなたは私の事を笑えなくなるはずだ。
その「呪い」とはーー「お金が無い者は何もできないし、何もしてはいけない」という「洗脳」の事である。
あなたにも何かしら思いあたる節があるだろう。いや、断言しよう。ないワケがない。絶対にあるはずだ。
忘れがちだが、「お金」は自然界には存在しない。人間が生み出した「概念」に過ぎない。しかし、創造物でしかない概念の方に創造主である人間の方が支配されている。
しかもそれは、人生の重大な選択肢だけでなく、生死にも関わっている。
これを「呪い」と言わずして、何と表現すればよいのだろう。
「資本主義的価値観、ルールに基づく事実」だろうか。そうだとしたら、「お金」とはつまり、宗教と同じだ。
「信じない者」にとってはどうでもいい事柄であったとしても、「信者」にとっては絶対的なルール、それが「宗教」というものである。
「お金」を介した物やサービスのやり取りは、「宗教的な儀式」あるいは「まじない」みたいなモノだろう。
「大事な宗教の儀式」に必要な媒介(=お金)をうまく集められた者は儀式の恩恵を受ける事ができるが、うまく集められなかった者は「自己責任」と言われて儀式への参加が阻まれるばかりか、極端な場合は生存権すら危ぶまれる。
「呪い」は、皆が信じている限り「確かに存在する」のである。
さらに「お金教」が他の宗教より厄介なのは、「信じない事を許されない」事だ。他国はともかく、日本では「宗教を自由に選択」できる事になっているが、「お金教」だけは何故か物心ついた頃から強制的に入信させられ、「お金」を使った儀式への参加を余儀なくされる。そして誰もがそれを「当たり前」だと思っていて「宗教」だとすら思っていない。
…何故こんな事を書いたのかというと、「貧乏人はペット飼うな」的なツイートを見かけたからだ。
それに対し私は反論する形でリツイートをしたのだが、実のところそのツイ主の言いたい事が理解できないわけではない。
英国では猫を飼い始めてからホームレスや薬中から脱した男性の話もあるから、一概にそうとは言えないと思う。
まぁそれは極めて例外な話なのかもしれないけど、「貧乏人」ってだけで切り捨てるのはただの思考停止だろ。 https://t.co/QERgE5hnb0— ルイ (@rui_akino) June 14, 2020
むしろ理解できてしまう。たからこそ、恐ろしいと思う。
このツイ主はただ単に、「金の無い奴の選択肢は乏しい」というこの社会の紛れもない事実を指摘しただけだ。その選択肢がこのツイートでは「ペット」だったたけの話である。
私自身も紛れもなくその「呪い」にかかっている一人であり、私一人が「それは呪いだ」と主張したところで、もはや「どうにもならない」。
何故なら「呪い」とは、「皆が信じている限り事実」だからだ(大事な事なので、2回言った)。
「お金がないと何もできない」は事実ではあるが紛れもなく「呪い」であり、「思考停止」なのだ。
少なくともペットの件に関しては、ボブとジェームズさんの事を知っていれば、そう思えるだろう。
※ジェームズさん。英国で歌手を目指していた男性。夢に挫折し、ホームレス&薬物中毒だったが、不思議な猫「ボブ」と出逢った事で人生が好転した。
最後に一つ付け加えよう。「呪い」と「祝福」は紙一重だ。「お金」は人生を便利&豊かにしてくれるツールでもある。
しかし、日本では貧困&自己責任論が蔓延し過ぎて「お金」は「呪い」と化していると思えてくる。
「お金」は人間が生み出した概念に過ぎないのだから、「人間を幸せにする手段」として機能してほしいものである…。