物語外からの破壊者ー映画「ドラゴンクエスト」感想

※この記事には「映画ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」のネタバレが含まれます。

勇者が魔王を倒して世界を救うーそんなファンタジーの王道of王道を描く国民的RPG「ドラゴンクエスト」。筆者はプレイしたことがないけど。

ドラクエの画像

©2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会 ©1992 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.© SUGIYAMA KOBO ℗ SUGIYAMA KOBO

そんな「ドラクエ」が昨年映画化されたのですが、すこぶる悪評でした。その主な要因は終盤の改変にあります。

なんでも、「魔王」の代わりに出てくるのがコンピューターウイルスで、「この世界はゲームだ」と主人公に言ってのけるとのこと…。

もちろんそこは、原作には無い「映画独自の要素」です。

私は先日この映画を視聴したのですが、実際にその場面を見て「これはない」と思いました(^^;)

魔王に擬態したコンピュータウイルスがゲームの世界の「ガワ(舞台セットやキャラメイクなど)」をはいでいく場面があるのですが、その時の主人公の叫び「やめろぉー! やめてくれぇ!!」悲痛過ぎました(^^;)。この映画で私が最も主人公に感情移入した場面だったかもしれません。

一緒に見ていた人の言葉が全てを物語っていました。「もうこれ、『ドラクエ』じゃないじゃん」。

一応この後、主人公がコンピューターウイルスを倒し、「たとえゲームでも…あいつらと過ごした時間は本物だ」というフォローが入り、製作者の意図としてはあの暴挙はむしろこのフォローに説得力をもたせる為の「演出」だったようなのですが…。

「ドラクエ」はファンタジーの王道であり、多少の紆余曲折があったとしても基本軸は「勇者が魔王を倒す」物語なのです。今まで積み上げて来た物語とは全く関係のない外部からやって来た者が、いきなり舞台を破壊する暴挙に出てしまった時点で「映画の魔法が解けて」しまっています。

もう、その後どんなフォローを入れたところで後に残るのはもう「虚無感だけ」です。ゲームやファンタジーナメんな。

…以上が、多少表現は違えど、この映画を見た誰もがだいたい口にする感想です。で、私も皆とおよそ同じ感想を抱いたという事です。

この「アイディア」を思いついたことがきっかけで本作の制作を引き受けたという山崎貴監督を非難する声も多いです。気持ちは分かりますが、その一方で、山崎貴監督は4年間ずっと「ドラクエ」の映画化のオファーを断り続けていたそうで、もう「断る事に疲れてしまったのかもな…」と思います。

何故なら私も「嫌だ」と断り続けているのに人から「やれやれ」うるさく言われて渋々引き受けて、悲惨な結果になった事があるからです(^^;)。

無理強いはよくないですね、何事も…。

良かった点

終盤の「コンピュータウイルス」展開は上述の通り「ダメダメ」でしたが、それ以外は概ね良かったと思います。

とにかく展開が速くて細かいところは「?」となりつつも、はしょり方がうまいのか、原作未プレイの私でも今何が起きているのかはだいたい分かりました。

「色々説明を省いても物語がだいたい分かる」というのは、王道の強みですね。(主人公が過去にさかのぼり、昔の自分と今の自分が持つオーブを入れ替えることに何の意味があるのかだけはよく分からなかったけど)。

二人の花嫁候補(フローラとビアンカ)の描写も面白かったし、かわいかったです。

映像も綺麗で、ファンタジーな雰囲気・世界観は存分に楽しめました。ラストのせいで何もかも台無しになるけど。

余談

外部からやって来たものが、いきなり今までの物語を否定する暴挙に出る、という展開は、「ぷよぷよクロニクル」のりんごに似ていると思う。

りんごの場合はさすがにそこまで露骨ではないが、ファンタジーの世界にいちいち「非科学的」と突っ込みを入れて来るので興ざめする。りんごはファンタジー世界の住人ではなく、地球人という設定で、従来の主人公であったアルルやアミティと違って魔法が使えない。

それにも関わらず作中では超人的に描写されており、主人公アルルを倒すなど、まさにドラクエ映画に出てくるコンピューターウイルスの如き「これまでのルールに縛られない」能力の持ち主なのだ。

りんごの場合はウイルスとは違ってそれでも「物語の一部」…というよりも、りんごこそが「ぷよクロ」の真の主人公として描かれている。

その証拠に、りんごはアルルを倒したが、アルルはりんごを倒せない(倒す描写がない)。私としてはもう諦めるしかないが、これだけは言わせてもらおう。

ファンタジーナメんな。

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