「パンケーキを毒味する」感想
※画像はパンフレット表紙
かの「100ワニ」を上映していたのと同じ映画館に見に行ったのですが、爆死した100ワニですら貼ってあった公開中のポスターが本作にはなかったので、上映していないのかと焦りました(^_^;)
現政権を批判的に見る趣もある(ほめているところもあったと思う)映画なので「上映中ですよ!」とポスターを貼るのはまずかったのかもしれません!?
でも観客は100ワニの時よりずっと多く、コロナの影響で1席ずつ空けていましたが、その状態でほぼ満席でした。(100ワニは100ワニで面白い映画でした)
恥ずかしいながら筆者は政治に関してはまだ勉強不足なところもあり、この映画を見てもイマイチよく分からないところも多かったのですが、日本を風刺した5本の短編アニメーションが面白くて分かりやすかったです。
本作は「政治バラエティ映画」という事で、現政権に詳しい人たちへのインタビューと解説、そして風刺短編アニメという流れで進みます。
風刺アニメは「モンハン日記ギリギリアイルー村」で監督と声優を務めたべんぴねこ氏が制作しており、「本当にギリギリなのはアイルー村ではなく、日本社会の方なのかもしれない」という事を教えてくれます(^_^;)。日本社会はギリギリどころかすでに色々アウトなような気もしますが。
とくに面白かったのは今後発足されるデジタル庁とこども庁を風刺したデジタル蝶とこども蝶です。
いずれも庁と蝶をかけたダジャレであり、庁ではなく蝶の姿でアニメに登場するのですが、デジタル蝶は勝手に個人情報を吸い上げてばら撒き(本当に起こりそうで怖い…)、こども蝶は「ありがたがっているのはおじさん達だけ」という風に揶揄されていました(^_^;)。これも多分、実際に恩恵があるのは子供ではなくて、天下り先ができたおじさん達が喜ぶだけという事なのでしょう。おばさんもいるかもしれませんが。
あとは羊飼い(これがアルプスの少女ハ○ジに出て来るおじさんにそっくり(笑))に飼い殺しにされる羊の話が印象深かったです。
牧場で羊たちはのんきに草を食んでいましたが、やがて冬になり雪が降りだしました。そのまま屋根もない寒い屋外で放置されますが、飼い主に抗議することはありません。そうしている内に、バタバタと何頭か倒れて死んでしまいます。
羊飼いはそれを見て「今暖かい小屋を建ててやる」と一度言うものの、それだけでそれっきり自分だけが暖かい部屋にこもってしまい、羊たちを助けようとはしません。
寒さに耐えかね、またバタバタと何頭か死んでいく羊たち。
それを見かねた猿(それまでは飼い主と一緒に部屋で食事をしていた)が、羊たちに羊飼いが自分だけが暖かい部屋でのんきに食事をしている事を伝えようとしますが、羊飼いに射殺されてしまいます。
羊飼いは玄関前にだけ餌をばら撒き、その付近にいた羊だけは餌を食むことができましたが、他の大多数の羊たちはやはり放置されたまま、またバタバタと数頭死んでいきます。
羊飼いは「どんな扱いをしても、あいつらは最後には俺を選ぶ」と豪語。
しかし羊たちもいい加減彼の傲慢さに嫌気が差し、彼の家に体当たりするのでした…。
これは、「国民が羊だと政治は狼になる」という格言を描いたアニメのようです。まんま現代日本ですね(^^;)まぁ、上に従順な羊を育てるために日本の義務教育はあるんだけどね。
小学校を舞台に描いた風刺アニメもあって、花瓶を割ってしまった生徒に先生が「あなたたちがやったんでしょ!」と問い詰めるのですが、生徒たちは政治家たちがするような言い訳をして先生を困らせる、というものでした。
他にも風刺アニメやらインタビュー・解説などがありますが、気になった方はぜひご自身で本作を見てみてください。
▼風刺アニメの一部が見られるPV
筆者が思うに、この映画の伝えたいテーマは至ってシンプルで
- 政治に関心を持て
- 政治家がウソをついたり、国民を顧みないことがあったりしたら抗議しろ。死ぬぞ
- ちゃんと選挙に行け
という事なのだと思いました。